10月22~24日に神戸で開催された、日本中のがん治療医が参集する【第64回 日本癌治療学会】の目玉企画の一つ、
「領域横断シンポジウム5」では、“免疫放射線治療”がテーマでした。
“免疫放射線治療”とは文字通り、がん免疫療法(イムノテラピィ)と放射線治療(ラジオテラピィ)を組み合わせた治療法で、弊社でも従前のセルメディシンニュースで用いていた用語“イムラジ”そのもの(※)のことです。
(※)
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例えば、セルメディシンのホームぺージから、
ニュース・トピックスNo.637 大腸がん:巨大リンパ節転移巣にも自家がんワクチン+放射線の“イムラジ”療法で有効だった
→ https://cell-medicine.com/topics/2566
ニュース・トピックスNo.624 肺がんステージIVでも「自家がんワクチン+放射線」のイムラジ療法で治療成功の方がいます
→ https://cell-medicine.com/topics/2508
ニュース・トピックスNo.623 ステージIVの大腸がんでも「自家がんワクチン+放射線」のイムラジ療法で治療成功の方がいます
→ https://cell-medicine.com/topics/2498
をご覧ください。
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今回のシンポジウムでは、本邦では最も意欲的に“イムラジ”に取り組んでいる4名の先生方が登壇し、それぞれの最先端データを発表されました。
少々専門的になりますが、要約しますと、
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CCSY5-1
肺がんにおける免疫放射線治療:現在地と展望 [演者] 増田 健: 久留米大学医学部
免疫チェックポイント阻害剤「デュルバルマブ」が承認され、化学放射線治療(CRT、“ケモラジ”)後の免疫チェックポイント阻害剤使用が標準治療として確立されている。
CRTと免疫療法の同時治療についても効果が期待されたが、全生存期間(OS)で差は出ず、毒性がかなり強く出ることから試験は失敗に終わった。
非小細胞肺がんに対する手術前の「ニボルマブ」使用では、5年のフォローアップ調査でOSに有意差が見られ、日本でも承認されている。
昨年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、CRT前後にトリパリマブ(抗PD-1抗体)を使用することでOSに
改善が見られた。現在、日本ではCRT前にプラチナ製剤2剤+ペンブロリズマブを投与する臨床試験が進行中。
CCSY5-2
子宮頸癌における免疫放射線治療の現状と課題 [演者] 鈴木 史朗: 愛知県がんセンター・婦人科部
子宮頸がんは、特に再発リスクの高い局所進行子宮頸癌において免疫療法との併用が注目されている。
2024年11月から、国内では「ペンブロリズマブ+シスプラチンベースの“ケモラジ”→ペンブロの維持療法(“イムラジ”)」が承認されている。
ペンブロをデュルバルマブを置き換えて使用した臨床試験は、無増悪生存期間(PFS)の改善が見られず失敗している。
CCSY5-3
皮膚がんにおける免疫放射線治療 [演者] 中村 泰大: 埼玉医科大学国際医療センター
メラノーマ:“イムラジ”によるアブスコパル効果が期待されたが、検証出来た試験無し。
照射局所はコントロールできたという報告はある。
有棘細胞がん:切除不能例の悪性度は非常に高いが、1年くらいかけてCRT+免疫療法による完全寛解(CR)例が徐々に増えるようだ。
メルケル細胞がん:放射線治療だけで90%くらいの症例が治るので、免疫の上乗せ効果の検証が難しい。
アブスコパル効果に関するケースレポート有り。
皮膚血管腫:高齢者が多く、肺転移を起こすケースが多い。ケースレポートでの実績はある。
まとめとして、アブスコパル効果が体内全体で検証出来たという報告はない。
CCSY5-4
多発性転移を伴う胃癌症例における免疫放射線治療の可能性について [演者] 三村 耕作: 福島県立医科大学・消化管外科
転移性胃癌患者を対象に、ニボルマブと局所非根治的放射線療法を併用したphase I/II試験が2018年3月から2021年8月31日まで実施され、完全寛解(CR)が3例、部分寛解が3例確認された。
CRが確認された1名は間質性肺炎を起こしたが、その後5年間CRを維持している。
血中の CD8+CD45RO+CD27+CD127+T細胞(セントラルメモリーT細胞)の頻度が高い群では、低い群と比べ全生存期間が有意に良好であった(p=0.0081)。
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という具合でした。
さて、読者の皆様は、これらの発表全体をみて、どのように感じられましたか?
“イムラジ”といっても、それほど強く期待に応えられる治療成果は未だ上がっていない、と思われる方々もいるのではないでしょうか。
この演題をみてもお分かりいただけますように、ここでいう“免疫療法”は、すべて免疫チェックポイント阻害剤を使用するものばかりです。
ご存知のように、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫反応のブレーキをはずす作用(ブレーキ・オフ)をしますが、免疫反応を刺激するアクセルを踏む作用(アクセル・オン)はしません。
やはり、ここには重要な役者不足があると筆者は思います。
すなわち、体内の免疫反応を積極的に刺激する作用をする治療法の追加が必要ではないでしょうか。
弊社がこれまでに主張してきたように、自家がんワクチンによる(アクセル・オン)作用を追加し、
「アクセル・オン/ブレーキ・オフ」戦略
として組み立てれば、上記の(※)に例示した症例のように、非常によく効くという“イムラジ”の効果が出現するだろうと筆者は思います。
特に、ニュース・トピックスNo.623 ステージIVの大腸がんでも「自家がんワクチン+放射線」のイムラジ療法で治療成功の方がいます
→ https://cell-medicine.com/topics/2498
(この方の学術論文は、Ref. 1をご覧ください)
で述べたように、明瞭な“イムラジ”の治療方針をとれば、放射線が当たっていない肺転移巣まで治ってしまうという、「アブスコパル効果」も頻度高く観察できるようになると考えられます。
Reference
1. Imaoka Y, et al.
Long-lasting complete response status of advanced stage IV gall bladder cancer and colon cancer after combined treatment including autologous formalin-fixed tumor vaccine: two case reports.
World J Surg Oncol 2017;15:170.
DOI: 10.1186/s12957-017-1245-x
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